乳歯列期の子ども

子どもの噛み合わせ、または歯並びが悪い場合、乳歯の場合でも診察が必要かどうかを示します。

気になることがあれば、気軽に診察を受けてください。矯正歯科医が幼稚園などで話をすると、頻繁に「乳歯の歯並びを治療するほうがよいですか」という質問を受けます。

矯正歯科医が乳歯の子どもを診る場合のポイントは、現在の状況、将来の永久歯の歯並びにどのように影響を与えることができるということです。歯並びをひどくする原因を、あごの成長まで考え巡らせて診察し、早期に矯正治療をすることがいいか、または少し大きくなるまで待つのがよいのかを決定します。

また乳歯が永久的な歯に生えかわるときに、成長の発育を妨げずに、良好な状態で維持したいと、いつも思うのです。そのために患者の動機などの条件をクリアすることができれば、幼稚園のころから矯正装置を付けることも可能です。基本的に、生えかわるまでで放っておくのではなく、赤ちゃんのうちから、気になることを矯正歯科医にご相談ください。それは手遅れになる前に、不正岐合を防止することができます。

矯正治療が必要な不正岐合の例としては、受け口(反対岐合)や交叉岐合が、例として挙げられるでしょう。

反対岐合は、お父さんやお母さんも比較的容易に見つけることができ、私達歯科医は頻繁に「乳歯の前歯は犬歯までの六本、逆に並ぶことは無いか、確認を」と言い続けています。六本という点がポイントです。4本なら、自然な治療で治ることがあり、永久的な歯が生えかわるまで様子をみることをお勧めします。

不正佼合は、母親が発見困難な不正佼合であり、自然に治ることはなく、成長後には治療が困難で、顔のゆがみも治る可能性が低くなります。そのために私達は乳歯列の早期治療を重視します。

45歳まで長くずっと指を吸うことによって、上の前歯が前に突き出し、歯列の幅が狭くなり、噛むと上下の乳犬歯がぶつけられ、その結果として、横にスライドさせて咀嚼する習慣がついてしまいます。

お父さんやお母さんが交叉岐合を見つけるためには、次の点に注意してください。

(1) 片側の歯が横にずれるので、上下の前歯の中心線がずれている。(2) 口を閉じたときに下の唇の端が歪む。(3) 顔を正面から見たときに、非対称に見える。

治療はまず原因となる指のおしゃぶりを止めて、狭くなった上顎歯列を矯正装置によって、元の歯列の幅まで回復します。乳歯列期初期の状態で、顎や顔のゆがみも治ることもあるでしょう。指しゃぶりが原因となる「出っ歯」や「開口」も重要です。

乳歯列の出っ歯と開口は大きな問題ではなく、そのうちに治るだろうと考えているお父さん、お母さんは多いです。

指しゃぶりによる出っ歯と開口の状態は、歯の周囲の筋肉の発達にも影響を与えます。口を開いて息をするため、口が突き出てしまい、見た目を悪くします。

乳歯列の出っ歯と開口の状態は、これらの機能の発育に悪影響を与えることを忘れてはいけません。永久的な歯に生えかわる時間までに、それらの癖をやめさせることです。